「タイで働いてみたい」
「現地採用と海外駐在の違いがよくわからない……」
とお考えの方はいないでしょうか?
この記事では、気になる「現地採用」と「海外駐在」について比較し、現地採用のキャリアアップについてご紹介します!
キャリアに関係?~「現地採用」と「海外駐在」の違い~
現地採用と海外駐在にはそれぞれ特徴があります。
一概に「どちらがいい」と決めるのではなく、自分のキャリアプランに合わせて選択をすることが重要です。
まず、それぞれについてご説明します。
現地採用員 :現地の日本の企業や外資系企業、現地(ローカル)企業などに
直接雇用されている人
海外駐在員 :外資系企業の日本法人や日本の企業に雇用されて、会社の命をうけて
海外支店、拠点に赴任している人
(出典:岡本 琢磨『キャリア・シフト 人生戦略としてのアジア就職』より引用)
特徴として、給与・待遇・自由度がそれぞれ異なります。
簡単に言うと、
現地採用のメリットは「自由度」
海外駐在のメリットは「給与」と「待遇」
だということが言えます。
では、給与・待遇・自由度はどのように異なるのでしょうか。
給与・待遇
給与面・待遇面は「海外駐在員」の方が「現地採用員」より良いです。
海外駐在員は日本の企業に雇用され、会社の命を受けて海外に赴任するためです。
また、給料に加え、海外赴任手当やドライバー付きの社用車の支給、さらには住宅費などが会社で負担される場合もあります。
一方、現地採用員の給料は、海外駐在員の給料に比べて高くありません。
たとえば、タイの場合「日本人現地採用の平均給与額」は、20代で約17 ~ 21万円が目安です。*
*基本給
自由度
自由度は「現地採用員」の方が「海外駐在員」よりも、圧倒的に高いです。
具体的には、就職先や仕事を内容を選べる自由度が異なります。
現地採用員は、自分で転職・就職活動を行い、現地の企業に直接雇用されます。
そのため、自分で働く国や都市、就職・転職のタイミングを決めることができるのです。
一方、海外駐在員は「希望する国」や「任期」を選ぶ事ができません。
だからこそ、給与・待遇が良いのです。
希望する国を選べないため、南米やアフリカの国に駐在する場合もありえます。
(参考:外務省「海外在留邦人数調査統計」)
業務内容
海外駐在員と現地採用員では、仕事の内容が異なります。
現地採用員が行うのは、日本人にしかできない業務です。
具体的には「企業の対日本人顧客への営業やフォロー」「現地スタッフと日本本社や駐在員との橋渡し役などの仕事が多い」などと、考えてください。
海外駐在員の場合は「1人の営業マンとして働く」というよりも「新規事業責任者」や「現地スタッフのマネジメント」など、責任の重い仕事を担当する傾向があります。
ただ、知っていただきたいのは、今は状況が変わってきているということです。
4.5年前はこのような傾向があったものの、最近は現地採用員が海外駐在員と同じような業務をすることも多いのです。
実際、ダコによると、2018年における「タイ現地採用のポジション」は51%がマネージャー職です。
<タイ現地採用のポジションの変化>
2011年
スタッフ職 87%
マネージャー職 11%
2015年
スタッフ職 59%
マネージャー職 39%
2018年
スタッフ職 43%
マネージャー職 51%
(出典:『DACO』2018年11月号より引用)
このように、現地採用員と海外駐在員のそれぞれの違いを知ることで、キャリアプランを立てることに活かしましょう!
次では、ご紹介した違いを踏まえて「現地採用の経験がキャリアに活きる」ということを説明します。
現地採用の経験でキャリアアップ!
「現地採用員は自由度が高く、海外駐在員は給与・待遇が良い」ということをご説明しました。
では、現地採用員の方はその後、どのようなキャリアを歩まれるのでしょうか。
実は最近、現地採用員のキャリアについて、変化が起きています。
・アジア就労経験が有利に(5, 6年前まではブランク)
・駐在員を現地採用員に置き換えることが増加
特に「海外、特にアジアでの就労経験がその後のキャリアに有利になる」ということが大きな変化です。
アジア就労経験が有利に(5.6年前まではブランク)
現地採用員の方が転職活動を行う際、アジアでの就労経験が有利に働くことが増えています。
5.6年前はアジアでの就労経験はブランクとして見られることが多かったものの、近年経営者や人事の方のアジア就労経験の捉え方が変化しているのです。
実際に「帰国後転職の際に、海外就職経験は有利に働いたか」という調査では、約7割の方が「海外就職経験が日本での転職の際に多少でも高く評価された」と回答しました。
(出典:阪南大学 産業経済研究所「『海外就職者アンケート』(2017年度)集計結果」より引用)
また、日本で転職活動を行った際に、アジアでの経験を活かし「給料が1.5倍に上がった」「希望の職種に転職できた」ということもあります。
駐在員を置き換えることが増加
また、最近では「駐在員の代わりを現地採用で代替しようと考える企業」も増えてきました。
そのため、海外駐在員を現地採用員に置き換えた案件が増加傾向にあります。
このように、現地採用員を取り巻く環境に変化が起きています。
その結果キャリアにも、大きな影響を与えているのです。
現地採用員のキャリアアップ例
では、現地採用員のキャリアアップについて詳しく見ていきます。
<現地採用員のキャリアアップ>
1. タイ国内(もしくは就職先の国)でキャリアアップ
2. 日本へ戻り、アジアの経験を活かしてキャリアアップ
3. 起業
1. タイ国内(もしくは就職先の国)でキャリアアップ
現地採用員であれば、現地の企業でキャリアアップを望むことが可能です。
アジアにある企業の特徴として「1社の中でのキャリアアップが早い」ことがあります。
そのため、若い方でもリーダーやマネジメントの経験を積むチャンスがあるのです。
たとえば、元々スタッフだった方が、若いうちに昇進し、マネージャーになるという場合があります。
2. 日本へ戻り、アジアの経験を活かしてキャリアアップ
現地採用員としてアジアで働いたあと、その経験を活かしてキャリアアップを図ることも可能です。
たとえば、
「日本で転職した結果、収入が以前日本で働いていたときよりも1.5倍に増えた」
「日本での営業時代は希望の部署に行けなかったが、タイの現地採用を経て、日本で希望の職種に再就職をした」
という例があります。
<現地採用後のキャリアアップの例>
・タイの現地採用を経て、日本で希望の職種に再就職
・収入が日本で働いていたときに比べ、1.5倍に変化
(出典:『DACO』2018年12月号)
たとえば「タイ人のマネジメントを行っていた」などの経験があると、日本で転職活動を行う際に評価される場合も多いです。
こちらは、実際にアジアで経験を積まれ、キャリアアップされた方々の実例です。
30代半ば / 男性 | 中国の外資系企業で営業職として勤務 → 外資系企業の国内営業職としてご転職(4社異なる業界での経験、日本では営業経験なし) |
30代前後 / 男性 | タイの日系企業経理職として勤務 → 日系商社の海外駐在前提の経理職としてご転職(公認会計士資格保有) |
40代 / 男性 | タイの日系自動車部品メーカーで製造技術職として勤務 → 日系自動車部品メーカーへ駐在としてご転職(タイを中心に6社経験) |
20代後半 / 男性 | シンガポールの日系メーカーにて営業職として勤務 → 日系プラント設備メーカーへ海外営業としてご転職(大卒後シンガポールの現地採用2社経験のみ) |
30歳前後 / 女性 | シンガポール日系メーカーにて営業職として勤務 → 外資系電子部品メーカーの営業職としてご転職(日本では営業経験無し) |
このように、現地採用員として希少性のある経験を積み、その後のキャリアに活かした方が多くいます。
3. 起業
海外就職先で経験を積んだあと、渡航先の国もしくは近隣諸国で起業する方もいます。
「日本と比べてアジアでは競合他社が少なく、そこにビジネスチャンスを見出してチャレンジする」ということが可能になるためです。
実際にタイでは、現地採用を経て「タイで何かビジネスを立ち上げてみたい」と起業する方も多いです。
(参考:『DACO』2018年12月号)
自身のキャリアパスを考えよう!
<まとめ>
- 「現地採用員」と「海外駐在員」は給与・待遇・自由度に差がある
- 現地採用員としての経験を活かしキャリアアップを目指せる
「現地採用と海外駐在の違い」や「現地採用のキャリア」について、疑問を持っていた方もいるのではないでしょうか。
現地採用は「現地の日本の企業などに直接雇用される」ということ、海外駐在は「会社の命を受けて海外支店、拠点に赴任する」ということに、違いがあります。
そのため、現地採用員の場合は自由度が高く、海外駐在の場合は給与・待遇が良いという特徴があるのです。
また、現地採用のキャリアパスについて「現地採用員としてアジアで働いた経験を活かし、より良い環境で働くこともできる」ということがあります。
この記事でご紹介した「現地採用員」と「海外駐在員」の違いや、現地採用の経験がキャリアアップにつながることなどを踏まえて、キャリアパスについて考えてみてくださいね。