藤本真紀子さん
ABC Cooking Studio Thailand Limited
Corporate Sales Manager
◇お仕事の内容を教えてください
ABC Cooking Studioは日本、アジアを中心に展開する料理教室です。会員制の料理教室で、コースには料理、パン、ケーキなどがあります。それぞれコースで6回、8回、12回などのチケットを購入いただき、生徒さん自身、受けたいメニューを選択し、受けていただいています。皆さん、大体月に1度スタジオに来て、ケーキやパンなどを作って楽しんでいただいています。
タイ国内は現在、サイアムのCentral World、またセントラルフェスティバルCentral Eastvilleの2店舗を展開してます。講師はタイ人、生徒さんも9割以上がタイ人の方になります。その中で私は法人営業担当をしています。商品のPRをしたい企業の方と、良い商品を買いたい消費者を、自然な形で繋げる仕事をしています。レッスン中に生徒さんから「この調理器具はどこで買えるんですか」「この調味料はどこのメーカーですか」と質問されることが多々あります。そしてスタジオで使用している、非常に高機能なオーブンなどを実際買われています。そこで私たちは教室の中で使用する食材や調味料をスタジオ内でごく自然な形で商品をPRする機を提案しています。タイでは、日系企業、外資系企業問わず、食品関連メーカー、調理器具メーカーなどに提案しています。
◇どういう経緯でタイで働くことになられたのですか?
新卒から8年間、人材関連の会社の法人営業部で働いていた際に、私はABC Cooking Studioの生徒の一人でした。忙しい日々を送り、かなりストレスフルな環境でしたが、料理を作る場面やみんなで手作りした料理を囲む場面に何度も救われていました。そして、料理をしているときの楽しさをもっと広げたいと、ABC Cooking Studioへの転職を決意しました。入社後2年は日本で法人営業を経験し、その後中国での法人事業立ち上げにも加わりました。中国法人の法人事業が軌道に乗り、一度は日本に帰国し別の仕事をしていましたが、また再び戻ってこないかと声をかけてもらい、タイ法人の法人事業の立ち上げを任されることとなりました。そして、現在に至ります。
◇もともと生徒さんだったのですね
はい。自分自身が通っているときに、実際にABCで使っている商品、オーブン、調味料、調理道具などを買っていました。なので、スタジオ内で使った商品をご自宅でも使いたい消費者の気持ちがよくわかりますし、企業の方にとって宣伝効果がある場所だと思っています。
◇中国での法人立ち上げの状況はどうでしたか?
当時は現地スタッフもおらず、何から何まで自分で実行していかなくてはなりませんでした。加えて、私が在中していた2012年から2014年の間には、尖閣諸島の所有権問題が深刻化した時期でもあったので、それが逆風となり日本企業にとって中国での展開は大変厳しいものでした。
◇それをどう乗り越えましたか?
自分たちのサービスに自信を持つこと、また情熱を持って現地スタッフや取引先の企業の方に伝え続けることで、徐々に価値を理解していただき、関係性を作っていきました。海外では弊社のような、食材や調理器具を料理教室内でPRするようなサービスがないので中国の企業の方に理解してもらうことはもちろんのこと、スタッフに理解してもらうことも難しく、受け入れられるのに時間がかかりました。本当に宣伝効果はあるのか、価格が高すぎないか、などのご意見もたくさんいただきました。しかし、実際に中国においてもABC Cooking Studioで使っている商品を買いたいというお声をいただきましたし、日本での実績もありましたので心折れることなく提案し続けることができました。今では中国の法人事業は中国人スタッフのみで運営し、売り上げも年々倍増しています。立ち上げ当初からのスタッフも今では売り上げの大黒柱として活躍をしてくれているので、本当にうれしく思っています。
◇タイでの法人立ち上げの状況はどうでしたか?
タイでの法人立ち上げは、中国での経験もあり必要な手続きや用意などはある程度把握できていましたので、比較的スムーズにものごとが進んでいきました。まだこちらに来て半年ほどですが、タイ人の人となりを知ることができたり、日本のサービスをタイで広げられる、そして食を通してコミュニケーションが生まれる楽しみを感じております。
◇これからタイで成し遂げたいことはなんですか?
これからはもっと、タイで日本食が広がったり、逆に日本でタイ食が広げられればと思っています。そのような活動も今後していきたいと考えています。
◇日本での生活と比べて、タイでの生活はどうですか?
日本では仕事も忙しく、また仕事の後に飲みに行く機会が多かったので、慌ただしい毎日を送っていたのですが、タイでは自分自身の生活にも少し余裕が持てるようになったので、自炊したり、ウォーキングに出かけたりしています。特にタイは一年を通して温暖な気候であるため、運動を始めるには最適です。
◇仕事をしていく上で大切にしていることを教えてください
業務を進めるにおいて、必ず目的を伝えることと、自分自身も目的意識を持つことを大切にしています。つまり、「なぜやるのか」を理解して、相手に伝え続けることで、相手もこちら側の意図を汲み取り、自発的に行動することにつながります。
◇ご自身のキャリア設計を教えてください
私自身、国によってカスタマイズしながら0から1を作り上げるのが得意だと思っていますし、そういった仕事をこれからもしていきたいと思っています。中国の法人事業の立ち上げの時は何もなかった状態から仕事を生み出すことができました。そのことが雇用につながり、そのメンバーが驚くほど成長を遂げるという過程を見るのはとても嬉しく思います。これからも世界各地にそういった拠点を作ってメンバーを成長させる機会を作っていきたいと思っています。
◇最後に一言、意気込みをお願いします
私は双方にハッピーを届けられる食のビジネスが好きで、このサービスが世界中で受け入れられることや、作ることの楽しさが広がることを幸せに思います。これからももっと頑張っていきます。
藤本さん、インタビューのご協力誠にありがとうございました。
仕事への姿勢やチームマネジメント方法など、非常に学びの多い時間でした。また、このサービスが世界に広がることがご自身の幸せにつながるというお話に関して、大変感銘を受け、私も将来仕事選びの際に参考にさせていただきたいと思いました。
また、記事に関するご意見、ご感想や、タイでのキャリアに関するご質問なども受け付けておりますので、何かございましたら、下記の連絡先までご連絡くださいませ。
Asian Leaders Career (記者 國重華)
Tel: 02-254-1520 Email: info@al-career.co.th
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