先日、東京にて開催されました「人生100年時代の長期キャリアを生き抜くグローバルリーダーへの道」という弊社オーナーのセミナーで「現地採用員」と「海外駐在員」の違いについてどう考えるかという質問を頂きました。この質問は、タイのみならず海外で就労している以上、どの国でも話題になる話です。今回はこの2つの働き方、役割を比較していきたいと思います。
「海外で働きたい!」と考えた際に、基本的に「海外駐在員」として働くか「現地採用員」として働くかのどちらかの雇用形態になります。そもそも海外駐在員と現地採用員の違いについてお分かりでしょうか?それぞれの違いを説明したあと、2つの特徴についてお伝え致します。
海外駐在員 :外資系企業の日本法人や日本の企業に雇用されて、会社の命をうけて
海外支店、拠点に赴任している人
現地採用員 :現地の日本の企業や外資系企業、現地(ローカル)企業などに
直接雇用されている人
(出典:岡本 琢磨『キャリア・シフト 人生戦略としてのアジア就職』より引用)
海外駐在員も現地採用員も「現地で働く」という意味では同じですが、給料や待遇面などで大きく異なります。それぞれの具体出来な特徴について見ていきます。
1.給与面、待遇面について
「海外駐在員」と「現地採用員」では、海外駐在員の方が給与面、待遇面は「海外駐在員」の方が「現地採用員」より良いのが当たり前です。前述したように海外駐在員は日本の企業に雇用されて、会社の命を受けて海外に赴任されて、現地に来ます。そのため、日本でもらっていた給料と変わりありません。会社から命をうけて海外に来ているため、給料に加えて海外赴任手当やドライバー付きの社用車の支給、更には住宅費などを会社で負担する場合があります。よって待遇面や給与面という面では、海外駐在の方が有利になります。
2.就職先の国や仕事を選べる自由度について
「海外駐在員」と「現地採用員」では、現地採用員の方が就職先や仕事を内容を選べる自由度では圧倒的に有利です。前述したように、海外駐在員は、会社に命令されて海外赴任になるわけですから、「希望する国」や「任期」を選ぶ事が出来ません。会社の方針に従います。海外駐在員は会社が決めた方針・命令に従って海外赴任するわけですから、待遇面や給与面が良くなるのです。一方で「現地採用」は現地にある企業に直接雇用されることになります。自分で転職・就職活動も直接行います。そのため、自分で働く国や都市、就職・転職のタイミングを決めることが出来ます。また、企業としても企業の命令で現地に赴任させ、赴任費用等がかかる海外駐在員よりも自らの意思で現地で働く事を志望して、さらに赴任費用も必要ない現地採用員を雇う方が企業としてはコストダウンにつながります。こういう背景があるため、現地採用の求人案件は各国どの国にもありあます。
3.海外駐在員と現地採用員の仕事の違いについて
海外駐在員と現地採用員では、少なからず仕事の内容が違ってきます。海外駐在員は会社の命を受けて、海外に赴任するため、「1人の営業マンとして働く」などとというよりも「新規事業責任者」や「現地スタッフのマネジメント」など責任の重い仕事になる傾向があります。(責任が重い分、待遇が良いという事もあります。)一方の現地採用員は、現地の企業に直接雇用されることになります。現地の企業はわざわざ現地の人よりも高い給料で日本人を雇用するわけですから、日本人にしか出来ない仕事が現地採用員の仕事となります。具体的には、企業の対日本人顧客への営業やフォロー、現地スタッフと日本本社や駐在員との橋渡し役などの仕事が多い傾向にあります。しかし、最近では、駐在員の代わりを現地採用で代替しようと考える企業も増えてきて、海外駐在員を現地採用員に置き換えるという案件が増加傾向にあります。
4.自分のキャリアプランによって「海外駐在員」か「現地採用員」のどちらが良いか選択は変わってくる
「海外駐在員」と「現地採用員」のどちらが良いか?という質問に対して、「海外駐在員」は「給与・待遇面」で「現地採用員」よりも有利ですが、「自由度」という面では「現地採用員」の方が有利です。タイのみならず、どの国で働くとしても「現地採用」と「海外駐在員」は存在します。今の企業に骨を埋めるという思いがあるのであれば、「海外駐在員」として海外で働く事を実現した方が良いこともあります。海外赴任の経験が評価されれば、今の企業でより高いポジションを今の企業が用意してくれる可能性もありますし、より高い給料も稼ぐことが出来る可能性もあります。つまり、次のキャリアを企業が用意してくれる可能性が高いからです。一方で、現地採用員は現地の企業に直接雇用されております。例えば、日本に帰国したいと考えていたとして、今の企業でどれほど素晴らしい結果を出したとしても、現地の企業に雇用されているために日本の企業が次のポストを用意するという可能性は高いとは言えません。現地採用としての経験を生かして、より良い条件の起業へ転職することや起業するなど、次のキャリアも自分で選択する事が出来ます。
海外駐在員と現地採用員の違いについてお伝えしました。
次回も気になる情報を発信してきます。